横山大観。

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 国立新美術館に「没後50年 横山大観――新たなる伝説へ」を観にいってきました。

横山大観といえば、日本画の巨匠。

大きな絵、迫力ある絵を目の前に見て、ガーンと感動させられたいと思って会場に向かいました。


 *

横山大観は1868年(明治元年)に旧水戸藩士の長男として生まれました。

絵に興味を持ち、狩野派の巨匠・狩野芳崖らに教え受けたのち東京美術学校(現・東京藝術大学)に第一期生として入学。岡倉天心などに学び、卒業後は助教授に就任します。

しかし、大学内の内紛により天心の排斥運動が起こり、大観も師に従って職を辞します。

その後、貧しさの中で日本画の改革運動を推進。
西洋画の画法を日本画に取り入れた新た画風の研究を重ね、やがて輪郭線を描かない「朦朧体」と呼ばれる新たな画風を創りだしました。
空刷毛を用いて輪郭をぼかし、空気感を表現するわけです。

しかし、既存の画壇からは「勢いに欠ける、曖昧でぼんやりとした画風」と激しい非難を浴びました。
「朦朧体」という言葉自体、侮蔑の意味で使われたとか。

なんだか印象派と似てますね。
第一回の「印象派展」が開催されたのが1874年ですから、実際に直接的な影響もあったのではないでしょうか。

印象派が浮世絵など日本美術の影響から生まれ、その印象派からの影響が黒田清輝や梅原隆三郎といった洋画家たちだけでなく、大観ら日本画をもを変えた‥‥面白いですね。

その後、大観は菱田春草らとともに海外に渡り、欧米で展覧会を開き、高い評価を得ます。
それを受けて日本国内でも新しい画風が評価されはじめ、やがて大観は日本画壇の重鎮として確固たる地位を築くのでした。

彼は戦時中、真っ赤な丸い太陽と共に冨士を描いたり、紀元二千六百年を祝って展覧会を開き、その売上金を陸海軍に寄付したりもしています。そのお金で軍用機4機が作られたのだとか。

彼は第一回文化勲章の受章者でもあります。

大観は、1958年(昭和33年)に89歳で死去しました。


 *

今回の展覧会では、厳島神社に奉納されている大作「屈原」や、大観の代表作である「生々流転」といった墨画や色絵の軸や屏風、巻物など約70点が展示されています。


会場に入ってすぐ「屈原」の大きな絵が出迎えてくれました(真ん中の画像)。
迫力です!

讒言により政界から追放され汨羅の淵に入水して果てた屈原に、大学を追われた師・天心を重ねて描いているのだとか。

「生々流転」は、大気が集まって1粒の水となり、それが川をなしてやがて海へ注ぎ、最後に龍となって天へ昇るという「水の一生」を描いた墨絵の絵巻。
40メートルを超える全巻が、長~いガラスケースの中に広げて展示してありました。


大観の絵を実際に見るのは今回が初めて。
ふむふむ、と順路どおりに作品を眺めながら進んでいき‥‥。

あれ? なんだか、ぜんぜん感動しない‥‥‥‥‥うーん。

あのですね、なんだか‥‥、なんだか‥‥。
大観、下手なんですケド。

筆致に勢いがなくて、まるでなぞってるみたい‥‥。

塗ってます、描いてます、表現してます‥‥っていう、書き手の作為が、作品全体を見ようとするのを邪魔する感じ。

字が上手じゃない人は、絵も上手じゃないと私は思うのですが、落款や、作品に添えられている文字を見る限り、大観って字がそんなに上手くないんですよね~。


ふと、もしかして、大観って、絵がそんなに好きではなかったのでは、と思う。
好きで、楽しくて、夢中になって描いた--描かずにいられなかったという感じがしない。
頭で考えて、工夫して、努力して、作り上げた絵という感じ。

少し離れて筆跡が見えなくなると、素敵だなあと思えます。構図や色遣いなどが、きっと緻密に計算されてるんでしょう。

「屈原」にしろ「生々流転」にしろ、まず「感覚」があるのではなく、「思考」がある絵。

つまり、大観にとって絵は、自分や師・天心の思想や意思、精神を表現し、伝えるための「手段」であり、「道具」であったのではないか‥‥今回、この日記を書くために大観の略歴を調べてみて、よけいそういう思いを強くしました。

少なくとも、私にとって大観は「好き」な絵ではありませんでした。


「よーし、今日は感動するゾ!」と意気込んで行くと、期待が空回りしてダメですね‥‥。




※基本的に「いいなあ」と思った展覧会だけ日記に書こうと思っているのですが、今回は「一般の評価」と、「自分の印象」があまりにも違ったので、自分が感じた感覚を言葉で整理してみるために、日記にまとめてみました。

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このページは、sumikaが2008年3月16日 16:24に書いたブログ記事です。

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